「迷宮街クロニクル・生還まで何マイル?」読了

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

ちょっと前に話題になったblog小説「和風Wizardry純情派」の商業小説版。出てから随分経っているのですが、ようやく読了。

いや、一度blog版読んでるので、「また読むのか」と思うとなかなか気が進まなかったんですよね(失礼)。でも読み進めてみたら脳が適度に前回読んだ記憶を失ってくれていて、普通に楽しめました。
内容は元のタイトルどおり、Wizardryをモデルしたお話です。

一昨年、突然京都を襲った大地震。それをきっかけに口を開いた大迷宮からは怪物たちがあふれ出し、当初自衛隊に掃討させようとした政府はそれが有効でないと悟るや、一般人の志願者に迷宮の探索を委ねた。

怪物を倒し、その身体の一部を換金することで莫大な利益を得る現代のゴールドラッシュ。そのリスクは死亡率14%といった数字になって、志願者のもとに返ってくる。

京都・迷宮街。今日もここで様々なドラマが幕を開ける。命を預けるメンバーは、たとえば恐ろしく綺麗な双子の少女。人は様々な思いを持ち、今日も迷宮に降りる――。

でも待って、現代だったら銃器使えばいいんじゃない?とも思うところですが、ここは日本なのでそれはアウト。それに中に入れば才能のあるヒトなら魔法も使えます、てなわけで現代日本に突如剣と魔法の世界が出現するわけです…って、読めばわかりますが、実際の所はチャンバラ小説。まあ迷宮を中心としたチャンバラ群像劇とでも表現すればいいんでしょうか。
Wizな名称は(当然というべきか)全然出てこないので、Wizを知らないヒトも楽しめますし、知っているヒトならば逆に「そのモノ・現象」の説明でニヤリとできます。
ところで貴方は、今すぐ剣と魔法を持たせられたとして、RPGによく出てくるモンスターに勝てる自信がありますか?それ自体意思を持って、自分に対して明確な殺意を持つ生物を。
私はありません。たちどころに返り討ちにあって彼らの晩ご飯と成り果てることでしょう*1
なので作中の登場人物も死にまくります。そりゃもうあっけなく。そして、心無しかそういうシーンに限って作者の筆も冴えてる気がしますw もっともその分、所々にある「幸せな」エピソードが心にしみて、心から彼らの幸せを祈りたくなる、いい物語になっています。
興味の湧いた方は是非。


さて、中巻行こうか。

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

ちなみにコミック化もされてますが、そちらはなんか酷い展開になってます…。

*1:フォアグラ&霜降り!ごちそうですね!ちょっと脂身が多すぎるのが難点ですか