それはゲーム機戦争じゃない

「PS3はゲーム機ではない」久多良木氏の真意が見えてきた
■ゲーム機はメディアを飲み込んでいく
しかしその一方、「グランツーリスモ5プロローグ」は、「さまざまなコンテンツが集まってくる場」としての色彩を、強く浴びています。

あらゆるクルマの最新データが配信され、運転することができます。また、世界中のクルマ関連の映像(テレビ番組など)や、ディーラーで流れているプロモーション映像、コマーシャル映像などが、自由に受信できます。最新ニュースもテロップで表示されます。クルマに関する、あらゆるサービスが楽しめるようになっているのです。

もうひとつ、PS3のオンライン空間「PLAYSTATION Home」で楽しめるソフト「dress」にも注目してください。これはファッション版の「グランツーリスモ」だと思えばいい。PS3の演算能力を生かして、衣服を完全に再現するソフトです。

ここからも、このソフトがファッション関連のメディアを飲み込んでいく――という壮大なビジョンを見ることができます。画面内には「ホンモノの服」がある。その服を着て動く姿を見ることができる。別々のブランドの服をコーディネートし、試着できる。そして購入することも可能になっていく。このソフトが、ファッション専門雑誌や番組、さらには通販番組などを凌駕していくポテンシャルを秘めていることが、理解できると思います。

PS3陣営は「PS3はゲーム機ではない」と、マシン発売前後に発言しました。その発言は反感を買いましたが、その真意が、ようやく形になって見えてきたようです。このマシンは、テレビや雑誌など、あらゆるメディアと対等に勝負し、他のメディアを飲み込んでいくつもりなのでしょう。

んー・・・言わんとしてるところはわかるけど、現状は、たまたまそれが可能なコンテンツだったってだけだよねぇ。結論早すぎないかな。

ちなみに、これはWiiニンテンドーDSが目指している未来と、ほぼ同じだと考えていい。

・・・いや、違うだろ。それに、

いま、両者による「ゲームじゃないけれど、体験すると面白いもの」を開拓する戦いが始まりました。任天堂が大きくリードし、そこをSCEが追いかける、という構図です。この戦いを制した側が、本当の意味でのゲーム機戦争の勝者になるのではないでしょうか。

それはゲーム機戦争じゃない。ゲーム機戦争とはゲームで勝負が付くものだ。記事の筆者が言っているそれは、別に新しくもなんともない、ただのリビング・メディアハブ戦争にすぎない。