反抗期の終わり-その1

私の中の母の記憶は薄かった。何故なら母は私を父に託して別れ、その父は、大して間を空けず再婚したからだ。

だから、私の頭の中にあった母との記憶は・・・

    • 雑貨屋に行った帰り道、蛇に出くわして怖がったら、そんなもん怖くないと突き放されたこと。
    • 養蚕の為の部屋。私は嬉々として虫を見ていたが、母はあまり乗り気でなかった。
    • 養豚場。そこには叔父がいた。
    • 五右衛門風呂。

その位。


でも、それでも私には別の母が、本当の母が居ることを忘れずに、いつかまた会うのだと信じていた。


継母は悪い人ではなかった。
でも、その教育(しつけ)方針が私の感に触った。曰く
「これ位は自分でしなさい」「自分のことは自分で」
言えば当然のことなのだが、友人達はそれらのことは母親がしてくれていた。だから反発した。
「それは、僕が貴女の子供でないから言っているのだな」と。
でも、父は、「本当の父」であるハズの父は、継母の言うことに反抗する私を好ましげには見てくれなかった。


だから、「僕」はこう決めた。
「母」とは呼んでやろう。だが、絶対に貴女を「母」とは認めない」
と。

それが6歳の時。
長い、長い反抗期の始まりであった。

・・・父については次回に。